◆田んぼだより

平成21年6月号

《12年目の田植え》

5月24日(日)今年もスタッフと有志のみんなで田植えに行ってきました。総勢30名ほど、田植え経験豊富なベテランスタッフも増え、初参加メンバーに丁寧に教えながら、小雨が降る田んぼで一日中土にまみれておコメと対話ができました。初参加のお子様たちもドロンコで七転八起、自由闊達に元気に植えて、大人たちがフォローの補植をしながら共同作業。大人も子供も手は2本、足も2本。しっかり指導すれば同等の作業力があるんだなと実感しました。

作業にも慣れて30人が黙々と手を進めながらも、それぞれの力加減から役割を自主的に計り、植えにくい端を植える人、植え残しを探して捕植する人、丁寧に植える人、そんなチームワークが自然と生まれていました。 毎日おコメに触れ、いつもおコメのことを考えている私たちですが、田植えや稲刈りをするたびに、より一層おコメの尊さ、一本の苗、土や水、生産地の方々の暮らしなどの大切さを感じさせられます。

「日本人に欠かせないおコメを作ってくれている生産者の方々へ感謝の気持ちでいっぱい」 「生産地の方々の支えがあってこその私たちの生活」 「小学校から高校まで必修科目で田植えをしたらいいのに」 「テレビやネットで見るだけではなく体験することでちゃんとした知識が身に付いた」 「同じ産地のおコメでも炊き方ひとつで美味しさにこんなに違いがでるんだ」 「都会では美味しいものを食べたいと思っているが、

それを生産している所まであまり考えていなかった」 「植えられた苗が秋までに成長するように、私も成長して秋をむかえたい」 「生産者の方々が大変な思いで作った大切なおコメを今まで以上に美味しく炊いてお客様に提供したい」 「苗2本で茶碗一杯、ならば私の1年分はこれくらいの面積なんだ!と実感」 「食糧自給率アップ。日本の気候風土に合ったおコメを田んぼでたくさん作ればいいだけなのに」

「日本の食文化であるおコメを、生産者を、生産システムを守るために、安いだけでおコメを選ばないようにします」 作業の途中、ぬか釜で炊いたごはんをおにぎりにして食べながら、こんな感想を話し合いました。

勝手気ままな都会人の発想かも知れません。しかし15年間余りおコメとともに都会でお客様と触れあい、12年間米作りを手作業で続けてきた立場から思うことは、

美味しいおコメが食べられなくなったら日本人として何よりも寂しいことです。生産者の方々に生産を担当してもらい、それを滞りなく日本全国の消費地に安全に管理、流通してくれる方々がいてくれる。

このような信頼関係が持続できるためなら、生産が持続可能な価格で消費するのが私たち消費地に暮らす人たちの役割だと思いました。

店主 岡野真吾