◆田んぼだより

特別号

《美味しいごはんの炊き方》

色々と試してみてもなかなかうまく炊けない思いはよくあることと思います。 私は毎日十回以上、一年に三千回以上の米とぎと炊飯を繰り返していますが、それでも炊き 上がるたびにドキドキで毎回が真剣勝負です。 この経験が皆様の「炊く自信」のお役 に立てたら幸いです。 ポイントは @米選び A保管 B調理 C残りごはんの管理 です。 今回は @米選び についてのお話です。お米の味は育った大地の土と水、天候でほとんどが決まります。どの農家の方も一生懸命に変わりありませんから、お米の値段が高くても安くても尊敬と感謝の気持ちを持って選びたいものです。同じ産地でも、となりの田んぼとは味も違いますし、感じ方も食べた人それぞれです。「炊く自信」を身につけた皆様がどんな種類のお米でも、そのお米の持っている力を存分に引き出し て炊飯し、その産地に思いをはせながら味わう。これが私の理想の食卓です。   お米の保管について。たしかにお米は消費期限の長い食品ですが時間とともに品質低下は避けられません。精米(玄米を白米にみがく)したてに近いほどみずみずしく、美味しいですから、できるだけこまめに購入するのが一番です。精米してから1 0日くらいたつと味の劣化をはっきりと感じられるようになりますから、2〜4名のご家庭では2〜5kgずつ買うのが良さそうです。(一合は約150g。毎日三合炊くと一週間で約3kg) 購入後の保管は、高温多湿は避けて、冷蔵庫保管も庫内にあるうちはいいのですが、使うために室温に出したときに結露がついてしまい湿気が入りますので、なるべく温度変化の少ない廊下などが良いと思います。 購入時点で精米から日数がたっているものもありますから、精米日の確認を忘れずに。 調理(美味しいごはんの炊き方) お米の炊き方については様々なアドバイスがあり、多くのお客様から本当はどうしたらよいのか悩んでいるとご相談をいただいています。一年に3000回以上の米とぎと炊飯を毎日繰り返している私からみていると、た しかに間違ったアドバイスをしているものをよく目にします。以下のことを実践していただければお米の持つ力をしっかりと引き出した美味しいごはんが炊けると思います。乾燥しているお米は最初の水をかなり吸ってしまうので、洗う時のはじめの2回 くらいはたっぷりの美味しい水(浄水器など。ミネラルウォーターでも硬水は避けて)で手早くすすぎましょう。お米自身が出したにごった水を吸わないためです。また現代のお米のほとんどは収穫時に乾燥機にかけて短時間乾燥をしているので、長期間安定して高品質で保管できるかわりにひび割れしやすくなっているので、あまりゴリゴリと研がずに「洗う」感覚でやさしくかき混ぜて6〜7回のすすぎで充分です。洗い終えたらすぐに水に浸します。よくここでザル上げして水を切るアドバイスがあ りますが絶対にやってはいけません。お米にひびが入り、炊飯中に米粒が割れてごはん粒が小さくなり、べちょべちょとダンゴになったごはんになってしまいます。お米にしっかりと水を吸わせて、みずみずしさを蓄えたお米を一気に炊き上げるからごは ん粒が立った美味しいごはんが炊けるのです。お米は水を吸いすぎることはありませんので、浸水時間は一時間以上なら一晩でも構いません。ただし水が傷むことはありますので夏場などは冷蔵庫に入れてください。炊飯時はできれば浸水時と水を取り替 えてください。生米→ごはんになる時に重量は2倍になります。水分を吸った訳ですが、その水分のうちの1/3が洗い始めてから浸水中までの水で、残りの2/3が炊飯の時の水です。ですからごはんの味は半分が水に左右されます。水加減はお好みによりま すが当店では一合につき180ccにしていますのでお米と水の容積は同量です。炊飯が終わり15分程蒸らし終えたら、しゃもじでまんべんなくかき混ぜてごはんの間の余分な蒸気を逃がしてあげてください。これをしないで放置すると炊けた形のまま固 まってしまいます。毎日のことですから実践を繰り返して自信を深め、美味しいごはんを身近なところからご一緒に広めていきましょう。お悩み、ご相談がありましたら当店のお電話かFAXにて岡野までお申し付けください。